第2、4土曜日に開講している「ロボット教室」でお馴染みの高橋智隆先生の記事がありましたので紹介させていただきます。
2本の足で立ち上がると、滑らかな動きで歩き出したり、走ったり、ジャンプまでする。
身長38センチメートル、重さ1.6キログラムの人型ロボット「ロピッド」は、躍動感ある動作が特徴だ。
製作者は、ロボットクリエーターの高橋智隆さん。2004年、米TIME誌の「最もクールな発明」に自作ロボットが選ばれて以降、世界で注目を集め、パナソニックのCMでは充電式ロボット「エボルタ」で米グランドキャニオンを登頂させた。
「10年後、ロボットはもっと身近な存在として、一家に1台の時代がくると思う。ただ、いま何が欠けているかというと、ロボットが暮らしのなかで何をしてくれるのかというイメージ。そのビジョンがないので、誰も想像できないのでは」
そこで、新たに手掛けたのが映画製作。7歳の男の子にふんしたロピッドの短編映画「少年は人魚に会いにいこうと思った。」(竹内泰人監督)だ。
ストーリーは、ロピッドが人魚姫の絵本を読んでいるうちに人魚に恋をし、会いにいこうと海を目指す。
「近未来的なSF作品を撮ってしまうと、結局、未来の話で終わってしまう。そうではなく、今の暮らしの中にロボットがいても違和感がないことを伝えたかった。映像で既成事実を作ってしまおうと」
家庭用ロボットの役割は、部屋中の家電をコントロールするためのインターフェース(仲介装置)だという。
「人型ロボットが人間の会話を通じて得た情報をもとに、留守中に掃除ロボットに掃除をさせたり、テレビを録画したり、ネットで情報をそろえたりとユーザーのライフスタイルや嗜好(しこう)に合わせて機械製品を操るんです」
ロボット製作を本格化したきっかけは大学1年のとき。まだ企業が開発に悪戦苦闘していた二足歩行ロボットを完成させ、特許出願している。
「ロボット製作を続けているのは性格かな。凝り性なんです。いちいち部品から自分でそろえ、設計、デザイン、製作のすべて自分で完成させる。ロボットを入れるカバンから名刺入れから、全部自分でデザインして作りたいんです」
凝り性は日常でも。最近は、色の奥深さを探っている。「僕の場合、形や動きはうまく作れる自信がありますが、色は毎回苦労する分、発見もある」
都内の自宅の壁は自ら塗り替え、洗面所は茶色、トイレは緑色に。自身のフェラーリはシルバーからブラウンがかったメタリック塗装に、ポルシェはシルバーからクリーム色、バイパーは薄い黄色を濃い黄色に。クルーザーも塗り替えた。
「もったいないからやめておけ、という人もたくさんいますが、勉強代ですね。壁が濃い色だと想像以上に圧迫感があるなとか、またそこで学ぶんです」
モットーは、「『迷ったらユニークな方を選ぶ』。
自分の人生設計をある種、人ごとのように楽しんでいる。わざわざ変な道を選択しつつ、まあ、何とかやってきました」
ロボットの追求は、技術向上はもちろん、人間観察が欠かせないという。自身のライフスタイルが新たなロボット開発の発見にもつながっているようだ。
■たかはし・ともたか 1975年3月27日生まれ。ロボットクリエイターとして、ロボットの研究・設計・デザイン・製作・発表を一貫して行う。2003年京都大学工学部卒業と同時に「ロボ・ガレージ」を操業し、京大学内入居ベンチャー第1号となる。米TIME誌「2004年の発明」、ポピュラーサイエンス誌「未来を変える33人」に選定。ロボカップ世界大会5年連続優勝。〈株〉ロボ・ガレージ代表取締役、東京大学先端研特任准教授、福山大学/大阪電気通信大学客員教授を兼任。
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